人間国宝とは? 匠の「わざ」を持つ人間国宝の世界

日本には、伝統的な技術や芸術を保持し、継承していく役割を果たす「人間国宝」が存在します。彼らは卓越した技能と深い知識を有し、その分野において国の宝とされています。本記事では、人間国宝に焦点を当て、その特徴や条件などについてご紹介します。

人間国宝とは

人間国宝は、重要無形文化財保持者として各個認定された人物を指す通称で、日本の国の重要無形文化財を受け継ぐための最高の技術者や芸術家として指定された人物です。彼らはその分野において卓越したスキルを持ち、後進の指導や伝承に努めることが期待されています。人間国宝の制度は1955年に始まり、国の文化と伝統を次世代に継承するために設けられました。

人間国宝の認定条件

認定には「各個認定」、「総合認定」、「保持団体認定」の3方式がとられています。
「各個認定」…重要無形文化財に指定される芸能を高度に体現できる者または工芸技術を高度に体得している者。
「総合認定」…2人以上の者が一体となって芸能を高度に体現している場合や2人以上の者が共通の特色を有する工芸技術を高度に体得している場合において,これらの者が構成している団体の構成員。
「保持団体認定」…芸能または工芸技術の性格上個人的特色が薄く,かつ,当該芸能または工芸技術を保持する者が多数いる場合において,これらの者が主たる構成員となっている団体。

※引用元:文化庁・無形文化財

重要無形文化財の種類


重要無形文化財は、大きく分けて「芸能」と「工芸技術」の二つあります。「芸能」は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊、音楽、舞踊、演芸、その他。「工芸技術」は、陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、撥鏤(ばちる)、手漉和紙(てすきわし)、截金、その他になります。

人間国宝に認定されるのは、伝統的な技術や芸術分野で優れた業績を上げた人物です。落語家の十代目柳家小三治さん、歌舞伎女方の坂東玉三郎さんなどが有名ですが、能楽、染織、金工、舞踊、演芸、陶芸、漆芸など、多岐にわたる分野で人間国宝が存在しています。彼らはその分野において、独自のスタイルや技法を確立し、国内外で高い評価を得ています。

※参照:文化庁の「重要無形文化財」資料

人間国宝は各地に存在していますが、伝統工芸や伝統芸能が盛んな地域に多く見られます。特に東京、京都、奈良、大阪、滋賀、和歌山、兵庫など歴史と文化が根付いた地域から多くの人間国宝が輩出されています。

人間国宝は、日本の伝統や文化を守り、未来へと継承していく重要な存在です。その卓越した技術と情熱が、国の宝として称えられています。