中小企業の技術と想いを届ける━━ 出会いと成長のきっかけを生むメディア『コネクト』

日本の産業を支える中小企業。しかし、その実力や魅力が世の中に知られる機会は多くありません。そんな現状に一石を投じるメディアが『コネクト』。中小企業向け経営支援プラットフォーム『Big Advance』から誕生し、まだ世の中に知られてない中小企業の“想い”や“挑戦”を伝えています。今回は、株式会社ココペリ 代表取締役CEO 近藤繁さん、マーケティンググループ・グループマネージャーの千田晃祐さん、メディアディレクターの木村奈央さんに、『コネクト』立ち上げの背景から今後の展望まで伺いました。

まだ知られていない中小企業の魅力を発信したい

━━『コネクト』を立ち上げた経緯や目的を教えてください。

近藤 私たちは、中小企業向けの経営支援プラットフォームとして、ITサービスの『Big Advance』を運営しています。多くの人が「中小企業=下請け」というイメージを持っていると思いますが、実際には世界シェアNo.1の製品を手がける企業や、高度な技術を有する魅力的な中小企業が数多く存在します。しかし、そうした企業の存在を知ってもらえる機会が少ないと感じていました。

そこで、そういった企業や、そこで働いている方たちにスポットライトが当たるような機会を作って、「こんなに魅力的な中小企業がたくさんあるんだ」ということを、より多くの方に知ってもらいたいと思い、つなぐメディア『コネクト(connect)』を立ち上げました。そのため、『コネクト』は『Big Advance』から生まれたメディアと言えます。『コネクト』を通して、今まで知られることがなかった中小企業の技術や取り組みを知ってもらい、新たな繋がりやビジネスを生み出す場を提供したいと考えています。

━━『コネクト』を立ち上げるきっかけとなった、『Big Advance』のサービスについて教えてください。

近藤 『Big Advance』は、全国の金融機関様と連携して中小企業の成長を支援するプラットフォームです。もともと中小企業と弁護士や税理士などの専門家を結ぶWebサービス『SHARES(シェアーズ)』を運営していました。ただ、ネットを利用しない中小企業の社長さんはたくさんいます。そういう方々に、どうやったらテクノロジーを届けられるかと考えたときに、金融機関の方と一緒だったら中小企業の方が利用してくれるのでは、という仮説をもとに『Big Advance』という新たなビジネスモデルになりました。結果として、建設業や製造卸売業の企業様が多く利用されています。

『Big Advance』のテーマは、「Face to Faceとテクノロジーの融合」です。人と人のつながりの良いところと、テクノロジーをうまく使うところを融合させて作っていくということが、基本コンセプトです。

サービス内容としては、「地域の枠を越えたビジネスマッチング」「ホームページ作成」「ビジネスチャット」「補助金・助成金制度の検索」といった機能が月額3,300円(税込)で使い放題です。『Big Advance』を通して、いろいろな企業同士が繋がって、新しい付加価値を生み出し、成長していってほしいと思っています。

約60,000社のネットワークが可能にする取材力と信頼性が他のメディアにはない強み

━━どのような基準で取材先の企業を選定しているのでしょうか?

千田 現在は、『Big Advance』の会員企業様が多いです。『Big Advance』は全国で約80の金融機関様と一緒にやっているサービスなので、地方銀行様・信用金庫様・信用組合様のお得意様で、優れた技術を持っている、面白い取り組みをされている企業様をご紹介していただいています。現在、会員企業様が約60,000社いらっしゃいます。金融機関様も支店の数で数えると6~7,000店舗ぐらいあるんですよ。なので、ありがたいことに取材先は潤沢にあります。

木村 あとは『Big Advance』のマッチングに成功されたり成果が上がったりしたところは、私たちもデータとして見られますので、そういった企業様へ成功事例として取材をさせていただいています。

━━『Big Advance』から派生したメディアというところが、他のメディアにはない独自性や強みに繋がっているのですね。

近藤 そうですね。取材する私たちと、取材を受けてくださる企業様との関係に加えて、その間に金融機関様が入ってくださるという点が、他のメディアとは大きく異なる特徴だと感じています。これが実現できているのも、『Big Advance』というサービスが基盤にあるからこそ。そこが、私たちの大きな強みだと思います。

千田 地方銀行様や信用金庫様も、やはり地域に根差して活性化させたいという強い思いをお持ちです。もっとお取引先企業の本業を支援し、企業様の良きパートナーとして愛される金融機関でありたいと、皆さん本気で考えていらっしゃいます。

そうした中で、『コネクト』を活用することで、地元の企業様をより多くの方に知ってもらうことができます。これは、金融機関様・企業様・メディアの三者にとって、まさにWin-Winの関係になっていると思います。だからこそ、『コネクト』をもっと成長させていって、まだ知られていない中小企業を知ってほしいと思っています。

━━取材された中で、モノづくりの技術や取り組みに関して特に印象に残っている企業はありますか?

木村 取材させていただいた企業様はみんな印象に残っていますが、一例を挙げるとすれば、ビレッジ開発様ですね。もともと不動産業が母体なんですけど、新規事業として自動環境制御のハウスを使ったトマト栽培に挑戦されているんです。全く農業の経験がない異業種からの挑戦だからこそ生まれる柔軟な発想で、これまでの常識を覆すような方法で成功されています。しかも『Big Advance』の商談会イベントを通して大手スーパーとのマッチングにも成功されています。

千田 面白いのが、そもそもトマト栽培を始めたきっかけが偶然の出会いだったんですよ。もともと不動産会社として社宅を貸していた相手が、自動環境制御ハウスを販売していて「試しに使ってみませんか?」と営業されたところがスタートだったんです。『コネクト』も「出会い」とか「つながり」をコンセプトにしているのですが、まさにこのケースはその象徴のようなお話でした。

木村 研究者気質な方なので、どういう環境でどんなトマトができるのか、こういうことが難しかったなど、取材ではいろいろと面白い話が聞けました。例えば、一年でトマトをすべて植え替えるんですけど、その際に出る苗も、農家さんの常識では「産廃として処理するのが当たり前」だったそうなのですが、それを「紙にリサイクルできないか?」と考え、弊社のクラウドファンディングを使っていただいたりして。現地に行って話を聞かないと分からないような、新しい取り組みがたくさんあって、本当に面白い取材でしたね。

━━『コネクト』を始めたことで、会社や社員の皆さんに何か変化はありましたか?

近藤 私たちはもともと中小企業様に向けて事業をしていますので、常に関心を持っていましたが、『コネクト』を通じてより良いサービスを届けたいという気持ちが強くなったと感じています。取材を通して、お客様の顔や想いが見えるので、そこの解像度が上がり、私たちのプロダクトも確実に良くなっています。これはとても大きな変化だと思います。

中小企業の魅力を対談や動画など、もっと多様なカタチで伝えていきたい

 ━━『コネクト』として、今後さらに目指していきたいこと、広げていきたいことは何ですか?

近藤 今は記事だけですが、今後は動画も取り入れていきたいと考えています。動画で発信することで、よりその人の人柄や雰囲気が伝わるようにしていきたいと思っています。また、現時点では『Big Advance』の会員企業様や提携する金融機関様が中心ですが、今後は未加入の中小企業や一般読者にもリーチし、多くの人に中小企業の魅力を届けていきたいと考えています。

千田 『Big Advance』のコミュニティや、企業様同士が繋がれるプラットフォームという強みを活かして、『コネクト』にしかできない対談記事を発信していきたいです。それを読んでもらうことで、他の企業にとってもモデルケースとして参考になると思うんです。そして、単なる情報発信のメディアではなく、『Big Advance』や『コネクト』を通して、企業同士が出会ったり繋がったりすることで、新たなビジネスや商品開発に繋がっていく、そんなメディアにしていきたいです。

木村 私自身は、以前は動画コンテンツがメインのメディアをやっていたので、対面取材は『コネクト』が初めてなんです。そういう意味では、私自身も『コネクト』と一緒に成長していきたいです。そして、会員企業様以外でも素晴らしい技術を持っていたり、面白い取り組みをされている魅力的な中小企業をもっと紹介していきたいです。

━━本日はありがとうございました。

 

株式会社ココペリ

〒102-0094

東京都千代田区紀尾井町3-12 紀尾井町ビル11F

TEL03-6261-4091

HP:https://www.kokopelli-inc.com/

コネクト:https://connect.bigadvance.jp/

 

代表取締役CEO

近藤 繁さん

 

サクセス・マーケティング事業部

マーケティンググループ

グループマネージャー

千田 晃祐さん

 

サクセス・マーケティング事業部

マーケティンググループ

メディアディレクター

木村 奈央さん

ヒアルロン酸注入のスペシャリスト 湯浅知世先生 適切なポイントに注入し、自然で美しい仕上がりに!

近年、美容医療が身近な存在になり、多くの方が美容クリニックで施術を受けています。その背景には、芸能人やインフルエンサーがSNSで発信し美容医療への敷居が低くなったこともありますが、何よりも大きいのは匠の技術を持った医師の存在です。そこで今回は、ヒアルロン酸注入で有名なPRIMA CLINIC(プリマクリニック)の湯浅知世先生に、ヒアルロン酸の効果や湯浅先生ならではの施術のポイントなどについて、お話を伺いました。

治療直後から効果が感じられるヒアルロン酸注入

━━ヒアルロン酸とはどのようなものですか?

湯浅 ヒアルロン酸は、皮膚、軟骨、目など、もともと体内にある成分です。当院でのヒアルロン酸注射は、ほうれい線が気になる、目の下のクマが気になるといった悩みを改善する、たるみ治療に使用することが多いです。ただ、たるみ以外にも、おでこに丸みを出したい、フェイスラインをすっきりさせたい、ふっくらした唇にしたいなど、さまざまなパーツの悩みを改善して魅力的なパーツを形成することができます。
こういったさまざまなお悩みに対しては、サプリメントや化粧品などを使用することもありますが、ヒアルロン酸は施術直後から効果が感じられますので、出来るだけ早く効果を実感したいという方にはヒアルロン酸注入はおすすめです。

━━湯浅先生のところに来られる患者様の男女比や年齢層を教えてください。

湯浅 ヒアルロン酸に関しては、男性・女性両方いらっしゃいますが、8、9割は女性の方ですね。年齢層は、加齢によるたるみなどの変化が気になってくる4、50代が一番多いです。

━━どのような悩みで来られる方が多いのでしょうか?

湯浅 基本的には女性も男性も、見た目を変化させて悩みやコンプレックスを改善されることを重視される方が多いです。女性の場合は、特にほうれい線やマリオネットラインの悩みで来られる方が多いですね。
男性もたるみやシワなどの悩みでヒアルロン酸注入をされる方もいますが、顎の形の好みは男性と女性では違いますね。女性はシャープな感じを好まれる方が多いですが、男性はシャープな形だけでなく、男性らしいスクエア型の顎を好んでヒアルロン酸を入れる方もいます。そこは男性特有かもしれないですね。

━━ヒアルロン酸注入による副作用は、どのようなものがありますか?

湯浅 他の治療と同じようにダウンタイムもありますし、痛みや内出血などもあります。また、稀に合併症として感染やアレルギー反応、他にも血管塞栓などのリスクもあります。
もちろん事前にこういったリスクがあること、そして解剖学の知識を使ってできるだけ副作用がおきないようにしていることはきちんとご説明しています。そのうえで納得された方に治療をしています。

━━ヒアルロン酸注入はどのくらいのペースで行うものなのですか?

湯浅 ヒアルロン酸は体内に吸収されていくものです。吸収のスピードは個人差がありますし、注入する製剤、部位、量によって変わってきますが、当院では基本的に2年ぐらいかけて吸収される製剤を使うことが多いです。ですから1年後を目安にメンテナンスすることをおすすめしています。ただ、患者様のご予算に合わせて少量からスタートする場合は、期間も半年とか短くなってきます。

ヒアルロン酸は自然でナチュラルな感じにできるところが魅力

━━湯浅先生自身は、ヒアルロン酸のどのようなところに魅力を感じていますか?

湯浅 即効性とナチュラルさです。肌質を良くすることで肌の悩みを改善していく肌育治療もいろいろありますが、ヒアルロン酸注入は治療直後から効果が感じられやすいですし、糸などの施術と違って治療しましたという「やった感」がなく、自然でナチュラルな感じに仕上げられるところが魅力だと思います。
また、たるみやシワなどの悩みに対しては、肌育治療の一環としてヒアルロン酸ボライトがあります。小じわの改善やハリ感のある肌への改善などができますのでおすすめです。

━━自然でナチュラルな感じに仕上げるために、湯浅先生ならではの治療のポイントはありますか?

湯浅 一つは、注入するポイントです。患者様が気になる部位だけに注入するのではなく、解剖学から注入のポイントを導き出して治療しています。これは、当院の院長・佐藤亜美子先生が大切にしている“全体のバランスを見ながら自然でナチュラルな感じに仕上げる″という「亜美子イズム」を継承しているものです。
例えば、ほうれい線が気になる患者様に対して、ほうれい線だけにピンポイントで注入してしまうと、治療した「やった感」が出て不自然なお顔になってしまうことがあります。自然に美しく仕上げるためには、ほうれい線だけにピンポイントで注入するのではなく、全体のバランスを見ながらリフトアップするために目の周りや頬などにも入れて小さな変化をたくさん作ることが大切です。

二つ目は、カウンセリングに時間をかけて患者様にきちんと納得して治療に臨んでいただくことです。今、お話ししたように、患者様が気になる部位以外にも注入することがあるので、患者様が「なぜこんなところに入れるの?」と戸惑われないように、全体をきれいにナチュラルにするためには、気になる部位以外にも入れることを丁寧にご説明しています。患者様には、施術内容、ご予算、施術後の効果や副作用など、すべてのことにご納得していただいて治療を受けていただくことがなによりも大事なことです。そのためにもカウンセリングには時間をかけています。

━━他に、湯浅先生が患者を診察・治療する上で大切にしていることはありますか?

湯浅 私が患者様と接する上で大切にしていることは、きちんと患者様の目を見て話すことです。当たり前のことかもしれませんが、患者様の目を見て話すのと、パソコンの画面を見ながら話すのでは、患者様からの信頼度が変わってきます。治療は、医師だけで行うものではありません。医師と患者様との間に信頼関係があってこそ、良い治療ができると思っていますので、そういう意味でもきちんと患者様の目を見て話すようにしています。

患者様にとって有益で一番効果が感じられる診察・治療を大事に

━━最後に、たるみなどで悩んでいる方、ヒアルロン酸注入を検討されている方へメッセージをお願いします。

湯浅 美容医療はキレイになるための第一歩です。ヒアルロン酸注入はとてもよい施術なので、悩みがある方、興味がある方は勇気を出して一度、クリニックに相談にいらしてください。
私は常に患者様にとって何が有益で、どうやったら一番効果が感じられるかを考えて診察・治療にあたっています。一見、人見知りにみられますが(笑)、実際はそんなことはないので気軽にご相談ください。

PRIMA CLINIC(プリマクリニック)
湯浅 知世先生

経歴
広島大学医学部卒業
広島大学病院、
美容クリニックにて勤務
2023年プリマクリニック勤務

資格・所属学会
眼科専門医
ジュビダームビスタ認定医
ボトックスビスタ認定医

PRIMA CLINIC(プリマクリニック)

〒730-0051
広島県広島市中区大手町1-8-22 本通 WEST X 3F
広島電鉄宇品線 本通駅 徒歩3分、アストラムライン 本通駅 徒歩3分
TEL082-569-4600
受付時間9:00-18:00

プリマクリニック公式サイト

お茶屋が運営する日本茶専門店「茶楽(さらく)かぐや」 自分で淹れる体験型のカフェで、お茶を身近に感じて楽しんでほしい!

100年以上続く老舗製茶会社・堀川製茶では、お茶の良さや楽しさ、そして文化や伝統を伝えるために、さまざまな試みを行っています。その一つが日本茶専門店「茶楽かぐや」です。匠の技術を活かした体験型の日本茶カフェは、新たな気づきが得られる場所として大きな話題となっています。そこで今回は、堀川製茶の堀川與一郎社長に「茶楽かぐや」設立の経緯や、お茶への思いなどについてお話を伺いました。

お茶を普及していきたいと思い、カフェを併設した「茶楽かぐや」をオープン

━━日本茶専門店「茶楽かぐや」を始めようと思ったきっかけを教えてください。

堀川 私が家業を手伝うようになった頃は、スーパーや小売店への卸売りがメインだったのですが、バイヤーさんと価格などの交渉をする中で、この先商売をしていくことに対してとても危機感を感じていました。
そんな時、地元・福井県の高校から依頼があってお茶の講義に行ったんです。生徒さんにお茶を飲んでいるか聞いてみたところ、冷蔵庫に入っているペットボトルを飲んでいると言われて…。急須で淹れたお茶を飲む機会が減っていると、さらに危機感が強まりました。
これは今後のことを考えると何かしないといけないと思った時に、お茶の普及をしていくために場所も道具も提供する体験型のお茶のお店を作ろうと思い、平成20年に体験型スタイルの日本茶カフェを併設した日本茶専門店「茶楽かぐや」をオープンしました。

━━「茶楽かぐや」のコンセプトとして、実際に触れてもらって日本茶の良さや伝統を伝えていくことが大事ということですね。

堀川 そうですね。まずは、急須など道具に触れてもらうことです。ですから、お店では定員が淹れたお茶を提供するのではなく、急須と湯呑をお渡しして、お客様自身でお茶を淹れて飲んでいただきます。私が淹れたお茶と、お客様が淹れたお茶では、常にお茶に触れている私の方が美味しく淹れることができます。ただ体験して頂いて、いろいろな気付きを得てほしいんですよ。実際、お客様から、「1回目と2回目ではお茶の味が違う」「同じお茶なのに友達のとは違う」といったことを言われると小さくガッツポーズしています(笑)。

━━お客様のターゲットとしては、どのような層を考えていたのですか?

堀川 子育てが落ち着いた方や子供の手が離れた50代ぐらいの女性を考えていました。そういう方たちが自分の子供と一緒に来てくださるのが理想でした。実際、ファミリーやカップルなど幅広い層の方が来てくださっています。意外に男性の方にも響いていて、常連になって頂いたり、道具一式をご購入される方もいらっしゃいます。

━━「茶楽(さらく)かぐや」の名前の由来・思いを教えてください。

堀川 お店をデザインする時にシンボル的なものが必要だなと思いました。私は裏千家という流派で茶道をしているのですが、長年していく中で、お茶とお月さまはとても結びつきが強いなと思うようになりました。お茶は中国から入ってきているものですが、古代中国では陰(月)と陽(太陽)の考え方が生活面などで応用されていました。陽は明るい、陰は暗い・質素といった部類の考え方があり、千利休が完成されたお茶は陰の方としてよく使われます。
そういうバックボーンもありながら、私は子供ながらに月を眺めるのが好きだったこともあり、「月」を一つの核としてお店を作りたいと思いました。その中で、「月=かぐや姫」という発想から「かぐや」を使いたいと思いました。ただ「かぐや」だけだと、家具屋さんと間違われてしまうのが嫌だったので、「茶を楽しむ=茶楽(さらく)」という漢字を付けて、「茶楽(さらく)かぐや」という名前にしました。

福井県で唯一、石臼で引き立ての抹茶を楽しめる

━━「茶楽かぐや」で提供しているお茶の特徴を教えてください。

堀川 緑茶という大きなカテゴリーの中でいくつか種類があるのですが、一つは越前に昔から残っている大豆とお茶をブレンドしたお茶です。あとは緑茶の中にも、玉露、煎茶など、いろいろカテゴリーがあるので、それをきちんと分けて提供しています。味の特徴でいうと、最近は濃いめが主流になってきているので、なるべく味がはっきり分かるものをメニューとして提供しています。

━━「茶楽かぐや」では、石臼製法で抹茶を提供されていますが、そこも特徴の一つですよね。

堀川 京都などのお茶屋さんでは石臼で抹茶を挽いているころはありますが、地方では少数の店舗しかありません。当店では挽き立ての抹茶で飲んでもらいたいとの思いから、店内にある石臼で挽いた抹茶を使って提供しています。コーヒーも焙煎したてと、時間が経ったものでは風味や香りが違うのと同じように、挽き立ての抹茶は口に含んで鼻に抜ける時の香りが全然違います。福井県で石臼の挽き立ての抹茶が楽しめるのは当店だけですので、ぜひ一度飲んでいただきたいですね。

━━お茶と一緒に提供する甘味にもこだわったと思いますが、メニューを決める上で大切にされたことはありますか?

堀川 私たちが提供しているのは、「お茶が主役になる甘味」です。お茶は和のものと相性がいいので、あんみつを主体にしようと思いました。最初はあんこも寒天も業務スーパーで売っているものを盛り付ければ何とかなるという安易な考えでした。ところがいざやってみると、お茶の特徴が消えて味が死んでしまったんです。これではお茶の良さや美味しさを知ってもらうという本来の目的が失われてしまうので、お茶が主役になる美味しい甘味を自分で作ろうと思いました。
ただ甘味に関しては素人だったので本当に大変でした。お茶の味を引き立たせるために、小豆や砂糖の種類や分量、水分量、小豆を炊く時間、寒天の固さなど、すべてにおいて一から勉強して、今の味になるまでに2年近くかかりました。

━━お茶のことが学べる教室も定期的に開催されていますが、なぜ教室を始めようと思ったのですか?

堀川 そもそも教室をやろうと思ったきっかけは、お店で挽き立ての抹茶を提供していた時に、お客様から「私もお茶を点てられるようになりたいけど作法が分からない」という話をされたことでした。私からすれば、作法が分からなくてもお家でお茶を点てればいいのにと思ったのですが、皆さんは作法を知らないとお茶を点てることができないと思っているのだということが分かったんですね。
そこで、作法は置いておいて自分でお茶を点てて楽しんでもらうところから始めようと思いました。まさに「茶を楽しむ=茶楽(さらく)」です。私としては入口を広くするために、まずは自分でお茶を点て楽しさや味を知ってもらうこと。そのうえで、もっと深堀したい人は作法も学んでもらえればいいと思っています。実際、お教室を受けてくださって、流派はどこでもいいからということで、私とは違う流派の門をくぐった方も何人かいらっしゃいます。

正式なお茶会をカジュアルな形で楽しんでもらう場を提供したい

━━「茶楽かぐや」に来られたお客様に、どのようなことを伝えたいですか?

堀川 せっかく日本人に生まれてきたのですから、自国の飲み物のことは分かってほしいです。お茶は、日本に昔からあるものですし、イズムとして残していくものだと思っています。理想としては、本物のお茶のことを知ってもらい、お家でも急須を使ってお茶を飲んでいただきたいですね。

━━今後の目標を教えてください。

堀川 ご自身でお茶を入れて飲んでいただくことに関しては、お客様には満足して頂いていると思っています。ただ、お茶はとても奥が深いものですので、もっと興味を持っていただいて深堀してほしいと思っています。私は裏千家なので、泡を立てるお茶を教えさせてもらっていますが、もう一つ濃茶というものもあるので、そちらも体験していただきたいと思っています。
また、皆さんの中には、お茶会はお茶と和菓子を頂くものと思っている方が多いですが、正式なお茶会とは懐石料理を食べて濃茶を飲んで薄茶を飲むことが一連の流れです。そこも私なりにカジュアルな形にして、皆さんに体験してもらいたいということが今の夢です。

茶楽かぐや 福井店
福井市大東2-1-131
営業時間/11:00~18:00 (LO17:20)
定休日/月・火曜日
TEL/0776-50-0315

茶楽かぐや 西武店
福井市中央1-8-1 3階
営業時間/10:00~18:30 (LO18:00)
定休日/西武福井店に準ずる
TEL/0776-97-9866

茶楽かぐや
あわら温泉美松店
福井県あわら市舟津26-10あわら温泉美松内
営業時間/10:00~17:30 (LO17:00)
定休日/不定休
TEL/0776-77-2600

HP:https://saraku-kaguya.net/